My Anniversary
「当り前の何気ない日々…」

 

たった数か月で世界が大きく変わってしまった。
2020年、それは世界中で新型コロナウイルスが蔓延した年として、きっと後世の歴史に刻まれることになるだろう。

年末になり更に感染者が増大。外出自粛で私も家にこもり、昔の写真アルバムを整理していたら、ニューオータニの庭園の滝の前で撮った写真が出てきた。
今から丁度30年前の1990年、家族皆で祖父が好きだった天ぷらを食べに「ほり川」に行き、食後にお庭で祖父母と撮った写真である。私の肩に手を乗せ楽しそうに笑っている祖父。私をいつも可愛がってくれた優しい祖母。前列のピンクのドレスを着ているのが30年前の私である。

祖母は、ピアノが大好きで毎日2-3時間は練習し大変元気にしていたが、2年前に病に倒れ、現在は近くの病院に入院している。コロナが発生する前の今年2月までは、両親は毎日の様に、私も育児の合間に祖母のお見舞いに行っていた。しかし、3月に新型コロナウイルスが蔓延し、それ以降全く面会ができなくなってしまった。両親も私達も、もう10ヵ月間も大好きな祖母と会うことができていない。
このコロナによって、きっと世界中で家族や大切な人と会いたくても会えない、あるいは感染し重症化し家族と引き裂かれた、もっと辛い思いをしている人々が沢山いるのだとも思う。

今年はコロナ、コロナであっと言う間に1年が去ってしまった。
30年前まだ小学生だった私は、9年前 両親と同じニューオータニの同じ部屋で結婚式を挙げ、今では6才と2才の2児の母となった。年を重ねるごとに、月日の流れは足早に過ぎ去っていくけれど、二度と来ない一日一日を大切に生きていきたい。
30年後私は今の両親と同じ年齢となり、ひょっとしたら孫がいるのかも知れない。その時には、また庭園の滝の前で、大切な家族と写真を撮りたいものだ。

来年こそは、家族や友人といつもの様に会い、おしゃべりをし、一緒に食事をする、そんな当り前の何気ない日々が、そして祖母の病院へ好きだったアイスクリームや花を持ってお見舞いに行き、体を拭き、手をさすってあげる、そんな穏やかな掛け替えのない日々が、一日も早く また来ることを願っている。
当り前の何気ない穏やかな日々、その日がまた来た時、それが私の何よりものMy Anniversaryになることだろう。